SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の併用処方
<処方例>
Rp1 デュロキセチン(先発品:サインバルタⓇ)
Rp2 ベンラファキシン(先発品:イフェクサーSRⓇ)
Rp3 ミルナシプラン(先発品:トレドミンⓇ)
上記の処方箋を応需した際は
2種類以上のSNRI併用っていいの?と疑問に思うかもしれないが、
結論としては問題はないことがある。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は以下の3種類がある。
・デュロキセチン(先発品:サインバルタⓇ)
・ベンラファキシン(先発品:イフェクサーSRⓇ)
・ミルナシプラン(先発品:トレドミンⓇ)
上記の薬は「うつ病・うつ状態」に適応を持つ薬であるため、疾患を「うつ病」と類推しやすい。
「うつ病に対しては作用機序の異なる抗うつ薬を使用するのでは?」「薬剤の追加ではなくて、切り替えか?」と考え、疑義照会を検討する薬剤師が多いと思うが、疑義照会する前に繊維筋痛症の可能性を考えて、その知識を持っておくとよいだろう。
デュロキセチン(先発品:サインバルタⓇ)は「うつ病・うつ状態」以外にも「糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症、変形性関節症に伴う疼痛」に適応を持つ薬である。
ミルナシプラン(先発品:トレドミンⓇ)、ベンラファキシン(先発品:イフェクサーSRⓇ)は適応外処方として線維筋痛症に使うことがある。
「SNRIのミルナシプランは海外では繊維筋痛症に対する適応薬剤であり、コクランレビューでもデュロキセチンと同様の評価であるが、わが国では保険適応がない。そのほかの抗うつ薬は線維筋痛症に対する有用性のエビデンスは低い。」(CQ8-5)
「ベンラファキシンは繊維筋痛症を対照とした4つのオープンラベルコホート研究では症例数が十分でないが、すべてで症状が改善を示したが、無作為対照臨床試験では対照と比較して、FIQでの臨床症状の変化を認めなかった。しかしすべて試験はサンプルサイズが小さいので、今後さらに症例を増やしての検討が必要である。神経障害性疼痛を対照としたベンラファキシンのコクランレビューによると150~225 mg/日の高用量群では鎮痛効果を認めた。」(CQ8-5)
と記載がある。
線維筋痛症ガイドライン2017
(CQ10-1)薬物の併用療法は線維筋痛症に有効か の項に
「日本で使用可能な薬の併用療法でエビデンスの強い報告はプレガバリンとデュロキセチンの併用のみ」と記載があり、SNRI同士の併用については直接述べてはいない。
ただ、SNRI単剤やプレガバリンなどの神経障害性疼痛治療薬の使用で改善が見られない場合に、適応外処方として、SNRI同士の併用はあり得るということだ。
疑義照会をする際には、このようなことを念頭に置いてから行ったほうが理解が早くなるだろう。
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